ヒートマップを見ると、改善したい箇所がいくつも見つかります。CTAが押されていない、料金表の途中で離脱している、クリックできない画像が押されている、重要な説明が読まれていないなど、気になる点は増えがちです。
ただし、見つけた改善候補をすべてABテストにかけると、検証に時間がかかりすぎます。先に優先順位を決めて、成果に近い仮説から試すことが大切です。
この記事では、ヒートマップからABテストの仮説を決めるときの優先順位づけを整理します。
観察事実を仮説に変える
まず、ヒートマップで見えたことをそのまま施策にしないようにします。「CTAが押されていない」だけでは、ボタン色を変えるべきか、位置を変えるべきか、直前の説明を変えるべきか判断できません。
観察事実は、次の形で仮説にします。
「ユーザーは○○で迷っているため、□□を変えれば、△△の行動が増える」
たとえば、料金表の注釈が熟読されていてCTAが押されていないなら、「ユーザーは契約条件で迷っているため、CTA直前に条件の要点を追加すれば、問い合わせクリックが増える」と整理できます。
この形にすると、変更内容と見るべき指標が決めやすくなります。
CVに近い箇所から優先する
ABテストの優先度を決めるときは、まずCVに近い場所かどうかを見ます。ファーストビュー、料金、CTA、フォーム前、事例、比較表など、申し込みや問い合わせの判断に近い箇所は優先度が高くなります。
一方で、ページ下部の補足説明や認知向けの記事導線は、改善してもCVへの影響が見えにくい場合があります。もちろん重要なこともありますが、最初のテスト対象としては後回しにしたほうが検証しやすくなります。
ヒートマップ上の気づきを並べるときは、次の順で見ます。
テスト候補を絞る観点
- CVボタンやフォームに近いか
- 対象ページの流入数が多いか
- 離脱やクリックの偏りが強いか
- 変更後に見る指標が明確か
- 実装範囲が小さいか
この5つを並べるだけでも、テスト候補を絞りやすくなります。
影響度と工数で並べ替える
ヒートマップで見つけた課題は、影響度と工数で分けます。流入数が多く、CVに近く、変更が小さいものから着手します。
たとえば、CTA直前の補足文を追加する、クリックされている非リンク画像をリンク化する、料金表の注釈位置を変えるといった施策は、比較的小さく試せます。
一方で、LP全体の構成変更、料金体系の見直し、フォーム項目の大幅削減などは影響が大きい反面、複数の要素が同時に変わるため、何が効いたのか判断しづらくなります。
最初のABテストでは、仮説と変更箇所が1対1に近いものを選ぶと、結果を次の改善に活かしやすくなります。
テストしない改善も分けておく
ヒートマップで見つけた課題のすべてがABテスト向きとは限りません。明らかな不具合や誤認は、テストせずに修正したほうがよい場合があります。
たとえば、クリックできないCTA風の画像が押されている、リンクが壊れている、スマホでボタンが小さすぎる、表が画面外にはみ出している、といった問題です。
このような改善は、ABテストではなく通常修正として扱います。デッドクリックをヒートマップで見つけて改善する方法で扱ったように、ユーザーの期待と実際の動きがずれている箇所は、まず体験の不整合をなくすことを優先します。
結果を見る指標を先に決める
ABテストでは、変更前に見る指標を決めておきます。テスト後に都合のよい数値だけを見ると、判断がぶれます。
仮説ごとに、主指標と補助指標を分けます。
- CTA文言
- 主要CTAクリック率 文言変更でクリックの意思決定が変わったかを見ます。
- CTA位置
- 到達率とクリック率 見られる位置に移せたか、押す理由も伝わったかを確認します。
- フォーム前説明
- 入力開始率と完了率 不安解消がフォーム行動に接続しているかを見ます。
CVRだけで判断すると、変化が出るまで時間がかかることがあります。小規模サイトでは、CVに近い中間指標も合わせて見ると判断しやすくなります。
レポートに残して次の仮説へつなぐ
ABテストの結果は、勝ち負けだけで終わらせず、次の仮説に使える形で残します。ヒートマップの観察事実、仮説、変更内容、主指標、結果、次に見るべき点を1セットにします。
記録の形は、改善レポートをチームで使うための共有フォーマットと同じように、事実と解釈を分けると扱いやすくなります。
ヒートマップは、ABテストのネタ出しではなく、仮説の根拠として使います。どこが押されているか、どこで離脱しているか、どこが読まれているかをもとに、成果に近く、検証しやすい改善から順番に試しましょう。